なれずし(熊野系)
熊野地方の代表的な郷土食のなれずしは、主に晩秋の熊野灘に訪れるサンマを使ったすしです。
日本の沿岸を南下したサンマは産卵期を終え不要な脂が抜けた身が締まり、日持ちが良くすしネタに最適な状態になっています。このサンマを、酢を使わずに発酵・熟成させたものがなれずしで、長期保存を可能にした熊野文化の粋・知恵と言われるものです。
サンマのなれずしは、熊野川を登り上流域にまで伝わり、お正月料理として喜ばれました。魚はサンマに限らず、鮎、ヤマメ、タチウオや鯖などさまざまななれずしが作られますが、有田地方のなれずしとは違い、うらじろの葉(シダの一種)を使うのが特徴といえるでしょう。
歴史は古く、室町時代から食されていたと言われ、いまでも地元の店舗では30年物、50年物の「本馴れ鮓」があり、珍味とされています。
地元の家庭それぞれの味があり、みんながこだわりの味を持つため、やれ「しょっぱい」だの「漬けすぎ」だのと、別名「小言ずし」と呼ばれることもあります。
材料
- サンマ(鮎・太刀魚)
- 米
- 酒
- シダの葉
- その他調味料
作り方の一例
- 1
- 数ヶ月塩漬けしたサンマを流水につけ、数時間塩抜きします。
- 2
- ご飯をいつもの二倍の水、酒、塩を加えて柔らかめに炊きます。
- 3
- 塩水でご飯を俵型に握り、その上にサンマをのせて形を整えます。
- 4
- 漬け桶・木桶にうらじろをし敷いて1列に並べ、手水の酒を振ってまたうらじろを並べ、これを繰り返して詰めていきます。
- 5
- 最後にうらじろを並べた後、落としぶたをして重石を乗せ、さらに塩水を張って冷暗所で2週間以上発酵させます。
- 6
- 逆押し(桶を逆さにして重石を置き水分を抜く)して数時間すればできあがりです。