
食育とは何でしょう。
その地域で何が採れるかを知ること?
産物の栄養や成分を知ること?
農・海産物の旬を知ること?
そういうこと全部?
みなさんがまず思いつくのは、
学校給食への取り組みでしょうか。
食育ことはじめ
(食育とは、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てること。- Wikipedia)とあります。言葉が初めて使われたのは明治時代で、昭和の頃には食育という言葉が認知されはじめ、2005年に食育基本法が成立しました。
農業を主産業とする和歌山県では、早くから紀の川市などで取り組みが始められています。今では行政や栄養士会などさまざまな機関・団体が関わり県内各地で食育への取り組みをおこなっています。
2009年現在、和歌山県では「食べて元気、わかやま食育推進プラン(和歌山県食育推進計画)」、和歌山市の「元気アップわかやま食育プラン(和歌山市食育推進会議設置要綱)」。紀の川市の「たのしい、おいしい、『食』を育む紀の川市(紀の川市食育推進計画・紀の川市食育推進会議条例)」が計画・策定されています。
子供も大人も一緒に学んで
学校給食を使った食育授業は、地元の農家さんたちの協力を得て実際に栽培・収穫を体験する取り組みがおこなわれています。
地元の食材について理解を深めつつ、栄養士さんや衛生士さん達がその食材を使ったメニューを作成。幼稚園や保育園、小学校の給食としてみんなに食べてもらおうと言うもの。時には関わった農家さんや栄養士さん達が特別に授業をおこなうこともあります。
この取り組みによって子供達は地元の産物を知り、食の大切さを学びます。また、これをきっかけに家庭にも食の話題が広がり、家族みんなで地元の食材に親しむことができます。
ところで、これを読んでいる方は次の問いに答えられますか?
- 地元の農産物や海産物をいくつ答えられますか?
- 裏の畑、または近くの畑で、なにが作られているか知ってますか?
- イチゴの旬は、本当は初夏だと知ってましたか?
- トマトには体内温度を下げる効果があることをご存じでしたか?
- ハウスの中で、ハチが蜂蜜を集めているのを見たことがありますか?
- みかんの花の匂い、気付いていますか?
これらの質問は、子供には難しいでしょう。でもほんの少し前・・・あなたの祖父や祖母の時代には当たり前だったことです。その昔、ほとんどの家庭では自分の庭などにお茶や野菜の栽培などがおこなわれていました。自動販売機もコンビニエンスストアもなかった時代。自分の家または近所でつくられたお米、地元で採れた野菜や魚を食べ、お水・お茶を飲み、自分で果物をもぎ取って食べていた頃。
いま郷土料理と呼ばれるほとんどの料理は、どのご家庭でも当たり前に食べられていましたし、今食べておいしいのは何か?そのものは旬を知ることであり、花の匂いで季節の変わりを知ることができました。
長く食べ続けるために漬け物を作ったり、お祝い事や集まりごとには、どの家庭でも押し寿司などのご馳走を振る舞っていました。人は食と共に暮らし、近所も環境もみんなで食を育む時代が、少し前まであったのです。
食があふれ、便利になった現在でも食を育むことはできます。果物と旬を気にしてみたり、いつも見過ごす花や産物をじっくり眺めてみたり、農家や漁業を営む方と話したり。地元で採れた果物を家族みんなで食べたり、ほんの少し値段が高くても地元の野菜を使ってみることなど。食への理解を深めることすべてが食育だと言えるでしょう。
「食育とはもっと幅広く、豊かで、とても大切なもの」だと考えます。農業・漁業を主産業とする和歌山だからこそ、本当の食・食育を訴えていく必要があります。
みんなで考える食育
食育は消費者だけのものではありません。農業・漁業従事者や直売所はもちろんですが、料理店や製造者、旅館・ホテル等々、食に関わるすべての方が考え、学んでいかなければならないものです。
フウドわかやまは、食育には主に3つのカテゴリがあると考えています。
ひとつは「地産食育」として、住む地域での栽培や人を知り、歴史や風土を知ること。
次が「食材食育」で地域の食材を知り、
旬や栄養、特徴などを学ぶこと。
3つめが「生活食育」で、培われた郷土料理や食生活を知ることです。
分類した食育はそれぞれが密接な関係を持っており、他の食育とあわせて考えていくことで、食に対してもっと興味・知識を深めていくことができます。
地産地消は(厳密に言えば)地元の産物を地元だけで食すことです。しかし、ただ購入し、漫然と食べるだけでは、値段の必要性や買い求める意味を考えることはできません。
食材を生かした商品づくりは、食材の良さとニーズとのバランスが重要ですし、それを訴求するためには地域風土や、あるときは歴史をひもとく必要があるかもしれません。
「顔の見える」直売所は、ただ野菜だけを販売するのではなく、農家さんの名前入りの、ちょっとした一言が楽しみです。スローフードや健康・薬膳料理なども、食材と食生活のバランスを考える必要があります。
ひとり・ひとつの考えだけでは視野を狭めてしまいます。ひとりで考えるのではなくみんなで考える。ひとりでできないことはみんなで作る。みんなが相手の立場を思いやり、考えを理解し共生することが必要なのです。
みんなの和をもっておこなう食育を、私たちは「和産和消」として考えていきたいのです。その先にある「地域活性化」を目ざしながら。
食を育みながら地域おこし・地域づくりを
また、この分類には地域づくりの考え方や、これからの観光産業のキーワードが込められています。
「地産食育」は、その土地にまつわる伝承や風土、名勝や史跡。そしてその土地で栽培されているものや採れるものを知ることによって「郷土愛」を育みます。
唐突かも知れませんが、あなたが住んでいるその場所に、何があるか、何が採れるかを知らずにいる人はかなり多いのではないでしょうか。
言い換えれば、これは「誇り」です。あなたの生まれたその町で、何が生まれたのか、何が作られていたのか。それをしっかりと学ぶことが、地域への愛着を強めることに繋がるのです。
「食材食育」は「地域資源活用」です。
その土地でしか味わえない食材を使った料理・製品の掘り起こし。たとえば、「粉河酢」や「湯浅醤油」は、その土地の水が適していたからだと言われていますし、「こうや豆腐」も、高野山の凍る寒さの中で生まれたものとされています。
龍神の柚べしも、香りがよい柚子をそのまま、いつまでも楽しみたいと保存食に加工したもの。また、押し寿司の原型となるなれ寿司は、その昔「海に面していない地域でも魚が食べられるように」工夫したものです。これらは立派な商品開発であり、郷土料理として広く普及した結果を見れば明らかでしょう。
そして最後の「生活食育」は「ライフスタイル」です。これは遠くから来られるお客様や観光客に対しての「おもてなし」の概念。
一般的な料理を食べていただくだけでは、せっかく和歌山県に来ていただいた意味がないと言うものです。この土地で採れた食材を、あるときは歴史や伝承を踏まえながら、あるときは民泊などで産地のことを楽しく語りながら味わっていただく、そんな楽しい団らんや出会いこそがお客様が求めるサービスであり、心を込めたおもてなしに繋がるのではないかと考えます。
今、アグリツーリズムや食の安全・安心への取り組み、そして地域の掘り起こしによる商品開発が全国各地でおこなわれています。消費者や観光客に対してどういうおもてなしをするのか、何を販売していくのか、どう接していくのかを考える時、フウドわかやまは「食育」を基本に考えていきたい。
和歌山県にはそれだけの土壌があり、生産物があるのです。